Anthia cinctipennis(サウスアフリカンプレデタービートル)




このページではサウスアフリカンプレデタービートルの飼育と繁殖について紹介します。

ちょっと見づらいですが時間が出来たら編集する予定なのでご容赦!
β版ということで。。。汗




◆公開の意図◆


この度日本国内にて繁殖に成功されていた飼育者様と連絡を取ることが出来、
成功した時の状況等を細かく教えていただきました。

件の飼育者である夏さんに紹介させていただく許可を貰う時言われたのですがこの情報が100%正解と言うわけではなく、
まだまだ試行錯誤の余地は残っている、ということをご理解ください。

※といってもすでに6度(2013年4月現在)成功されているそうです。チャレンジしてみる価値は大いにあるかと。


成功例を出している繁殖方法を公開することでフォロワーが増え、そこからまた飼育繁殖方法の試行錯誤が行われて
より良い飼育方法が確立されることと、嫌な言い方ですが商材として人気が出てその他の種が流通する可能性にも
期待してここに公開させてもらいます。




尚、繁殖に成功した方法自体事細かに教えていただきましたがそれを100%お伝えすることは私の文章力では難しいです。
試して失敗した、等のクレームは残念ながら受け付けられません。
言うまでも無いですが各自自己責任にて行ってください。



文責:猫★atlach;nacha 

2013年4月9日


※リンクフリーですが文章、画像の勝手な引用や転載は許可出来ません。







◆What's SAPB?◆




プレデタービートルという恐ろしげな名前に耳馴染みの無い方も居ると思われますが
所謂オサムシの仲間です。

体長は50mm程度と比較的ボリュームがあり、捕食も荒々しく観察して非常に面白い種です。


比較的長寿命でWCからでも数年の飼育が可能で、そこそこ丈夫なので成体は飼い易いといえます。
(WCの場合何歳か解らないので一概には言えませんが)

似ているので混同されがちなハンミョウの仲間はタイガービートルと呼ばれます。

最大の特徴は♂の頭部から伸びるひさし状のパーツ。




とてもかっこいいです。



ペットとしてはWCがたま~にどかっと入荷することがあるものの、繁殖方法は確立されているとは言えず、
CBが出回ることはあんまりありません。(国内では現状CB未流通?)

オサムシの仲間なのでお尻から刺激性の物質を吹き付ける行動を行います。
かなりひりひりするので念の為気をつけてください。

ピンセット等にはそういう行動をしないので呼気等、何かに反応しているのかもしれません・・・が詳細は不明です。







◆プレデタービートル繁殖の簡易プロセス◆


おおまかな流れとして、交尾したあと上手く行っていれば♀の食欲が増します。

その後♀の食欲が落ち着いてから数日以上経過すると床材に10~20cmほどの穴を掘り産卵室を作成。

そこに15~24個程の卵を産みます。

その後孵化した幼虫が順調に成長すれば1齢~3齢を経てさなぎになり、羽化します。



孵化から羽化まで約60日前後とのこと。
(産卵→20~27日→孵化→30日前後→蛹→30日前後→羽化)







◆床材について◆


プレデタービートルの繁殖において床材は非常に重要な意味を持ちます。

第一条件として「産卵時にメスが穴を掘って崩れない事」
そして無機系の床材が良いのではないかと考えられるそうです。

現状これをクリアする床材で入手の簡単なものとしてあげられるのが赤玉土と砂の混合床材。





「画像のように穴を掘ってみて崩れなければOK。」


赤玉土はミキサーで細かく砕き、篩にかけてから砂と混ぜたものを使用します。
産卵を目的とするのであれば深さは15cm~20cmを目安に。
ちなみにかなり細かい粉塵が出ますのでマスクなどの対策は怠らぬよう注意。

「ミキサーで赤玉土を砕く」というプロセスが難しい場合、除菌砂(園芸用品15kgで1500円前後)を
使用しても産卵したというデータがあります。

ただし、詳しくは後述しますが産卵後に卵を掘り出して個別管理する必要があります。
掘り返すときに白い除菌砂では白い卵を探し辛いというデメリットもあるとの事。






◆餌◆


成虫は結構なんでも食べますのであんまり気にすることは無いと思いますが問題は幼虫。
適当に給餌していると中々上手く行かないようです。

オサムシwikiによるとマイマイカブリなどに見られるように幼虫時代は特定の餌が成長に不可欠な仲間が多く、
羽化後も生殖器などは未完成で、成熟するためには幼虫時代に食べていた餌が必要、、、との事です。
この辺りが産卵して孵化しても、成虫まで育て上げることが難しい昆虫とされる原因かもしれません。

となると、何らかの栄養素を必須としているのかもしれませんが現状では解っていません。
現地では蟻を主食としているのでは?等の考察もあるようで、実際蟻を与えると幼虫も成虫も良く食べるそうです。

じゃあ何を与えればいいのかという話になりますが夏さんの家ではフタホシ×シルクワーム、シルクワーム×ジャイアントミルワームで
無事成体まで育て上げることが出来たとの事です。







◆普段の管理とレイアウト一例◆


基本的に個別管理です。
複数飼育も可能ではあるようですが、私の家でもペアケースに餌を入れると我を忘れたかのように
暴れて♂が♀にくらいつき、冷や汗が出た事があります。
事故を避ける意味でも繁殖時以外は個別に管理するようにします。


レイアウトに関しては夏さん宅のケージ写真をお借りしました。




60cm水槽に床材、ウェットシェルター、水入れ、そして右の白いものは大理石の板でここにバスキングライトを
照射してホットスポット(35度前後)にしているとのことです。






◆繁殖例-交尾-◆

まず交尾ですが、これは比較的容易に行うようでペアでケースに入れていると勝手に交尾していることも。
ただし、その場合交尾を行ったと確認出来ない為、個別管理して目の前で交尾させるのがベター。
※ラッキーにも交尾を確認できたなら交尾日をメモして個別管理しましょう。


人為的に交尾を促す場合、日照時間が関係しているのでは?という事から1日に12~13時間ライト(バスキングではなく照明)を照らし、
一週間ほどそのまま管理します。

その後、比較的大きめのケースへペアを入れてしばらくすると交尾を始める事が多いとの事。




「当方宅にて。見づらいですがこのような体勢で交尾を行います。」

どうやら視力が良い虫なのでフラッシュ撮影すると少し嫌そうなそぶりを見せましたのでご注意を。





◆繁殖例-産卵-◆

交尾が上手く行っていると♀の食欲が増します。
しっかり餌を与えましょう。そして、食欲が落ちて数日~経過すると床材に15~20cm程度の穴を掘ります。
その後一日ほどかけて15~24個の卵を産卵。
翌日穴から出てきた♀の腹部の膨らみ方で産卵したかどうかがわかります。

自然に孵化するまで放置すると幼虫が共食いを始めるので産卵後10日ほどで掘り返し、個別管理します。
孵化までは20~27日ほどです。




◆繁殖例-幼虫の管理-◆


個別管理はプリンカップに床材(繁殖ケージと同じもので可)を入れて、すこし湿らせて25度前後で管理します。

未確認情報ではありますが27度以上になると孵化した個体に異常が見受けられる事もあったそうです。
※厳密には関連不明ですが念の為記載します。


さて、孵化したら給餌しますが無事成虫まで羽化させることの出来た時の給餌パターン一例を記載します。

まず4日ほどこまめに餌であるシルクワームを与え続け(一令シルクS5~8匹、三令シルクM6~9匹が目安)
フタホシ(〆る)1~3匹、ジャイミル(弱らせる)1匹与える。

この後脱皮しますが、一令できちんと栄養を摂取出来ていた場合、二令ではそのまま何も食べず
三令へ。また、三令でも同じことが起こりうるようで、何も食べず蛹になることも。

食べるようであればシルクワームを与えますが脱皮後2~3日経過しても食べないようであれば切り上げて次のステージへ。

一令幼虫
一令幼虫:後期
二令幼虫
二令幼虫:後期
三令幼虫
三令幼虫:後期


◆繁殖例-羽化-◆


三令で十分栄養を取ると穴を掘り、蛹になりますのでデリカップから少し深めの床材を入れたケースへ移し変えます。


♂の蛹
♀の蛹
羽化した♀





以上です。

成功例をベースに是非チャレンジしてみてください。

その他の餌としてハニーワーム、クロオオアリなども捕食するようですので参考までに。

そして、もし成功したら声を上げていただくか、もしくは当方まで連絡を頂けるととても嬉しいです。



情報&写真提供:夏氏(残念ながらHPやBlogをお持ちではないとのことなのでHNのみ公開させて頂きます)


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